小さな恋 大きな恋
05
少し時間を戻して5人の会話
「おちびと手塚ってどういう関係?」
「父さんと母さんが親友同士なんだ。」
「でも、会ったのは昨日が始めてなんだよ。」
「えっ?昨日?!」
「それにしては仲がいいね。」
「昨日国光といっぱいお話したから!」
「話とは?」
「ん〜と、学校のこととかー。あと、テニスのこと!」
「おちびテニスするの?」
「うん!でもちょっとしかできないんだ。」
そう言ったリョーマの表情は暗かった。
「リョーマは生まれつき体が弱いんだ。興奮したり激しい運動をしたりすると咳が出るらしい。だからテニスも1ゲームしかできないとリョ
ーマのお父さんが言っていた。」
リョーマの代わりに国光が3人に説明した。
「でも、1ゲームはできるんだね。リョーマちゃん、僕らもテニスするんだ。今度調子がいいときに一緒にしようね。」
「ホント?」
「うん、もちろんだよ。」
「ありがとうvvv」
暗かった表情がぱっと明るくなって満面の笑みを浮かべた。
「国光!国光もしてくれる?」
「ああ、体調がいいときはな。」
「わーいvvv」
その心からの笑みを正面から見てしまった国光はほんのりと顔を染めた。そんな手塚を見た3人はピシリと固まってしまった。
「そろそろ本鈴がなる。リョーマ、戻るぞ。」
「はーい。」
「お前等も行かないのか?」
「あ、先戻ってて。」
なんとか不二が手塚の言葉に返事をした。
「?ああ。遅れないようにしろよ。」
そして2人は保健室から出て行った。
「「「・・・・・・・・。」」」
「あんな手塚初めて見た。」
「あれは完璧おちびちゃんに惚れてるにゃあ。」
「いいデータがとれた。」
そして3人は顔を見合わせ笑顔で物騒なことを言った。
「「「これはおもしろくなりそうだ。しばらく手塚で遊べるぞ。」」」
06
3人が手塚で遊べる発言をしている時、リョーマを手塚は教室に向かって歩いていた。
「3人とも楽しくてイイ人だね。」
「ああ、あいつらは頼りになるやつらだ。それより、リョーマ。さっきあいつらにリョーマのことを話してしまったが嫌だったか?」
「ううん。嫌じゃなかったよ。国光のお友達だし、テニスもしてくれるって言ってくれたし。それに、私、体育の時あんまり出れないからい
つか他の人たちのもわかっちゃうから、だから別にいいよ。」
「そうか。だが、体調が悪いときは必ず俺に言ってくれ。もし俺がいないときはあの3人の誰でもいいから我慢せずに言って欲しい。倫子
さんがリョーマは我慢する時があると心配していた。」
「わかったけど国光気にしてくれてたの?」
「いや、まぁ。」
「ありがとv」
今度こそ手塚は顔を真っ赤にしたが、1歩前を歩いていたリョーマにはその顔は見えなかった。
「ほら、国光!授業遅れるよ!」
そして午後の授業が始まり、何事もなく終わった。
「国光ー!帰ろー!」
リョーマが手塚に早く帰るよう急かしていると、不二と乾が近づいてきた。
「僕らも一緒に帰っていいかぁ?」
「うん、いいよ。今日はこのまま国光の家に行くんだ!」
「このまま?」
「うん。お母さんがね、国光の家にいるからそのまま国光の家帰ってきなさいって。」
「そうか。なぁ手塚。俺達も行っていいかな?」
「もっとリョーマちゃんとも仲良くなりたいしね。」
「国光いい?」
国光を見上げるリョーマの目に国光は首を縦に振るしかなかった。
「わーいvvvじゃあ、一緒に帰ろう!!」
「ちょっと待って、英二もいい?」
「いい?国光?」
「ああ。」
「じゃあ、英二を誘って帰ろ。」
「うんvvv」
そして英二を誘って5人となり、手塚の家へと向かった。
「嬉しいなぁvvv国光のお友達と遊べて!」
「そんなに嬉しいの?」
「うんvvv」
「でも、俺らはおちびの友達でもあるんだにゃー。」
「ホントッ?!」
「ああ。俺らはそう思っているが。」
「日本の学校の初めてのお友達が3人もできちゃったーvvv」
「よかったな、リョーマ。」
「うん!!嬉しいvvv」
5人はしゃべりながら手塚の家へ行くと彩菜と倫子が出てきた。倫子にリョーマは勢いよく飛びつき、「私にお友達が出来たの!!」と嬉
そうに話していた。
そして夜も更け、たっぷりと遊んだ4人は各自の家へと帰った。もちろんリョーマと倫子も。

